2006年10月17日

第九回報告


< テ-プ 1 >  提供者 吉田理恵 ( 長船日本語学院 )
① テ-プ提供理由
  ・ 全体を通して、能力の限界まで発話を引き出すことができている。
  ・ 具体的なさまざまな話題について、自由回答型の質問を沢山繰り返し、
    突き上げやレベルチェックができている。

② 判定結果  ( テスタ- : 非テスタ- )

   中の下 ( 2 : 1 )   中の中 ( 6 : 1 )

③ 討論内容

  ・ 判定について
    全体的に短い文を用いることが多いものの、一問一答型ではなく複数文で話し、
    その分量は中の中の話者としてのレベルに達している。
    発音や正確さについては、母語話者でない人に慣れている好意的な相手には
    理解してもらえる程度と考えられる。
    後半にかけては、内容や発話の構成が上へのきざしを感じさせる部分もあり、
    自発性もみられる。

  ・ インタビュ-技術についての問題点
   被験者の発話を引き出すために、被験者が興味のある内容、さらには被験者が話したい内容を
    話題にしていることについて、中級レベルでは問題ないと考えられるが、上級、超級の被験者に対しては、会話の主権を与えないようにしなければならない。
    当然のことながら、被験者のレベルにあった対応が重要である。
    
④ 最終判定   中の中

                                 以上
                                    
テープ②尾崎奈津氏
-まとめ-
超級  8(うち非テスター1)
上-上 2(うち非テスター1)

テープ提供の理由:これはテープ提供者の個人的な反省点であるが、被験者が上-
上~超級の場合、突き上げを急ぐあまり、上級のタスクである叙述・描写のチェック
を十分に行わないまま、抽象的な話題・議論に進んでしまうことがある。そうした場
合、当然インタビューは不安定なものとなる。その点、今回提出したテープは、部分
的にではあるが、中級から上級・超級へと段階を追って質問ができており、ある程度
安定した判定材料が引き出せているように思われた。

 判定は超級と上-上に分かれた。超級としたテスター・非テスターからは、高度な
語彙が使われており、話の内容も高度であるが、発言があまりコンパクトでないこと
から超級といってもベースラインではないかという意見が出た。
 また、上-上としたテスター・非テスターからは、抽象的な話題についてはかなり
話せているが、日常的な話題での叙述・描写が十分にできるのか、もう少し聞いてみ
たいという意見が出た。
 これに関連して、上級レベルの叙述・描写よりもむしろ超級レベルの抽象的な議論
のほうが得意といった被験者をどう判定すればよいのかということが話題になった。


テープ③ 林 智子

   被験者 中国人女性

 超   3(テスター1 非テスター2)

 上?上 5(テスター)

 上?中 2(テスター)

(このテープを持ってきた理由)

 成功テープを持ってくることとの指示だったが、そのようなものは私の場合存在しない以上、何らかの問題提起で貢献したいと思った。このテープは、被験者のペースで展開しているため、突き上げの弱さは否めないものの、それなりのインタビューの流れは作れているのではないか、被験者の自発的な展開を含む談話の中から、評価すべき能力がある程度抽出できているのではないか、今年3月の合宿の「それ以外の材料から判断できるものがあれば、トリプルパンチは必ずしも必要ではない」という報告を受けて、これもその場合に当たるのか、以上の点を参加者に判断してもらいたくてこのテープを持ってきた。

(参加者の声)上級?中以上という点では全員一致。非常に早口で流暢に話はするが、語彙の抽象性は低い、裏付けのある意見という観点からも弱い、自分の意見を述べているというより思考の引用が主、質問とはピントの外れた答えをしている部分もある、超級の話者なら、もっと簡潔に述べられるものだ、ロールプレーも敬語をチェックする目的でした方のできがあまり良くないのではないか、以上が、超級ではないという判定の理由。一方超級ベースラインと判定する側からは、非常に流暢でこなれた日本語を話し、ある種の論理性もある、発話量の豊富さは素晴らしい、中国人にとっては難しい和語が十分出ている、抽象性が低いというのは、聞き手により分かりやすく具体的に話すという職業上の親切心から来ているのではないか、自分で話し始めたことが完結できている、話題に対して逃げないで、自分なりに談話を構成している、ロールプレーもこの程度できていれば問題ない、インフォーマルの方は良くできている 等の意見が出た。インタビューの仕方としては被験者のペースに巻き込まれないで、テスターは途中で話を遮るとか、同意より対立姿勢で臨むべきだという亜w)€モ見も出た。十八番の話題が多いのではないか、十八番の話題の答えの評価はどうするのか、自分で勝手に展開していった談話の評価はどうなるのか、これらの評価によって、今回のテープの判定が分かれたと考えられる。

 上?上が妥当な判定といえるか。



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